泉の抜け、さらに先へ進んでいった。
 その先は、アリの巣のように入り組んでいる。
「ねぇ…… お兄さん。 何かすごく道が分かれてるよ」
「とりあえず、歩くしかないだろ、少年!」
 手当たりしだい穴に入っていく3人。
 しかし、モトの場所に戻ってきてしまい、入った穴がどれかも分からなくなる。
「これじゃ、ラチが明かないよ!」
「落ち着け、少年! こういう時は、落ち着いて物事を考えるのだ!」
「考える、ったって……」
「ねえ。 思ったんだけど。 何か印していけばいいんじゃない?」
 メルは普通に思いついたことを言った。
「おぉ、頭がいいなメル! その手があった!」
「いやっ、誰でも考えるでしょ。 コレくらい……」
「でも、その印を何で付けていくか…… だよね」
 それについて、コッシュは悩んだ。
「石で、壁にマークでもしてけば、いいんじゃない?」
「なるほど! メル冴えてる〜!」
「コッシュがバカなだけでしょ。 本当、早く行かなきゃ指輪が無くなるわよ?」
 メルは、今回は本当に冴えている。
「よしっ、それじゃメルの言ったとおり進んでみようか!」
 そうして、入った場所の入り口に印をつけて進んだ。
「お? ここは来た所みたいだな?」
「そうみたいだね……? それじゃ、こっちじゃないね」
「早く行くわよ!」
 3人は、ありの巣を淡々と回っていく。
「なっかなか、見つからないね……」
「そう簡単には、見つかるもんではないからな」
 何度も周り、ようやく扉の前にやって来る。
 その扉には1と書かれていた。
「ん…… 何だ、この1というものは!」
「まだ、第一関門って意味じゃない?」
「うわっ、ってことは、こんなのが何個かあるって事……?」
 コッシュは気が遠くなり、魂が抜けそうな顔をする。
「そうなんじゃない?」
「気をしっかり持て、少年!」
「うーん…… 駄目、もう疲れた」
 コッシュは疲労で倒れこんだ。
「ま、しょうがない。 一休みをしよう」
 ソウロウたちはその場で休む事にする。
「そうね…… 何かぐったりしちゃったわ……」
 メルもその場で座り込んだ。
 そこでゆっくりと休んでいると、何かが動く音が聞こえる。
 屋根が、ゆっくりと迫っている気がした。
「え! 何で屋根が迫るの!?」
 コッシュは音を聞いて上を見上げる。
 少しずつ天井が迫ってきていることに気づいた。
「扉付近で止まっていると、動く仕掛けになっていたのだろう!」
「それじゃ、早く次へ行こう!」
 とっさに、メルは扉を足で蹴り飛ばし、次の通路へと入っていった。
 その先は、同じくアリの巣の道だった。
「……後、これがいくつあるのかしら……」
「さぁね……」
 2人は気が遠くなっていた。
「気が遠くなってくるが、行くしかないぞ! 少年とメル!」
 ソウロウは気合いを入れさせ、2つ3つと進んでいった。
 そして、5つめの出口を捜すところまで来る。
「うーん、今回はどっち行けばいいんだろ……」
「前のところは、すぐに見つかったのにね……」
 その場所は前回より複雑には見えない。
 だが、疲労もあって捜す気力がなくなってきていた。
「気をつけろ! 横から岩が転がって来ているぞ」
「えっ? 何も聞こえないけど……」
 ソウロウは聞こえない音を感知している。
 コッシュはその音が聞こえなかった。
「私を信じて、後ろに下がれ!」
 3人は十字路になっている道の後ろの道に避ける。
 すると、目の前を岩が通り過ぎた。
「え――! 本当に転がってきた!」
「言った通りだろ! 少年!」
 ソウロウの言ったことは間違っていない。
 岩が転がってきたことと同時に、道の手がかりを手に入れた。
「でも、今まで岩が転がってこなくて、今来たってことは……」
「あっちだろうな!」
「だねぇ!」
「それじゃ、行ってみましょ!」
 3人は岩が転がってきた方向へ歩いていく。
 歩いていくと、また岩が転がってきた。
「……インコン……」
 ソウロウはいつもの技を使おうとする。
 だが、コッシュはソウロウを止めて前に出た。
「お兄さんさん、ここは僕が!」
 手に持っているボムワンドを振る。
 転がってきた、岩を破壊した。
「よくやったぞ! 少年!」
「まあね……!」
「そんなことより、次の岩が来る前に行くわよ!」
 岩は何度も繰るようなので急いで前に進んだ。
「あ…… そうだね」
「そうだな!」
 さらに奥に進んでいく。
 長くクネクネとしていて、歩きにくかったが進んでいった。
 そうすると、またまた岩が転がって来る。
「もうっ! 何回、落ちてくるわけ!?」
「ボムワンドが勿体無いよ」
「だが、さっきに比べ早くないか!? 少年!」
「あ……」
 コッシュは岩を目の前にして固まった。
「もう、いいわ…… この際、受け止めちゃうわよ!」
 3人は岩を手で力いっぱい広げる。
 そして、その岩の動きを止めた。
「この岩ってさ、誰かが転がしてるのかな?」
「わたしもそう思えてきた。 ここら辺、斜面じゃないし……」
 メルの言うとおり、前の所は斜面だったが、
 近づくにつれ、段差も傾きも無い道になっていた。
「あ、止めちゃったけど、この岩どうする?」
「みんなでパンチして押し返しえばいいじゃない?」
「そうだな、少年とメル!」
 そして、3人は岩に懇親の一撃で拳で吹っ飛ばした。
 すると、先で扉が割れるような音がした。
「あの先に扉があることは確認できたね……」
「……そうだな。 このタイミングで走って向うぞ!」
「ええ。 いくわ!」
「わーい。 出口、出口!
 3人は火の如く、走って進んだ。
 そして、壊れた扉の前に辿りついた。
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