穴を潜り、そこを進んでいった。 「……この先は何があるのかなぁ?」 「また、変なのが出てこなきゃいいわ」 メルは先ほどのこともあり、不安を抱えていた。 「探検に危険はつき物、何に対しても緊張感を持て!」 「あんたがいえたことじゃないでしょ!」 メルは直ぐに諦めたソウロウにツッこむ。 「ま、まあそうなんだがな……」 そんな話をしていると前には怪しい泉があった。 「何か…… また変なことがおきそうだな!」 「うん。 避けて通ろう」 「……本当、不気味ね」 3人は泉を無視し、横の狭い幅の道を通って進む事にした。 順調に通って渡りきれそうになった時、コッシュは足を滑らす。 「あぁっ――!」 コッシュが泉に落ちそうになった。 そこで、ソウロウが素早くコッシュの腕を掴む。 「大丈……!」 コッシュを助けたには助けた。 だが、代わりにソウロウが落ちてしまう。 「オッさん!?」 コッシュは叫んだ。 しかし、ソウロウは泉の中へ沈んでいってしまう。 「……オッさん。 いいヤツだったな」 コッシュは冗談半分に呟いた。 「コッシュ、オッさんを勝手に殺しちゃ駄目よ!」 メルはコッシュにそういう。 しばらくすると、泉に泡が噴いた。 「あ、お兄さん、出てきたのかな……?」 コッシュはソウロウが上がってきたと思った。 その後、靄が立ち上がり、ソウロウではなく、まばゆい姿が現れた。 「私は泉の精。 困った顔をして、どうしたのですか?」 「オッさんが沈んでっちゃって。 あの人がいないと進めないんだけど」 コッシュは真面目に答えた。 「おや、それは大変ですね。わかりました。力になって上げましょう」 すると、水の中へと潜っていった。 しばらくすると、オッさんらしき者を抱えて出てきた。 「あなたが落としたオッさんとは、この綺麗なオッさんですか?」 そのオッさんは気品があり、逆に不気味なオーラを出していた。 「ちっ、違うよ! そんな綺麗じゃないし!」 「もっとキッタなくて、ゴッツくい人だわ」 「……」 泉の精は少し固まった。 再び水の中に潜っていった。 まもなく、オッさんを抱えて出てきました。 「あなたが落としたのは、このオっさんで間違いないですか?」 今度は、いつものオッさんの姿のオっさんが出てきた。 「うーん…… 何か違うような……」 「そうねぇ。 オッさんってよく見てないし」 コッシュとメルは、なぜか悩んでいた。 「あなたたちは落ちた者の姿を覚えてないんですか?」 「うん」 普通に返事してきたので、泉の精は呆れてコけた。 「あなたが落としたのは、この人ですよ」 「へぇ、そうなんだ」 「……あなた達って、変わり者ですね。 初めてですよ、あなた達みたいな人」 泉の精は頭を抱えて呆れ返っていた。 「うん、それじゃ、その人返して」 「ええ。 どうぞ」 すると、泉の精は、ソウロウを降ろした。 「……うーん」 ソウロウは意識が取り戻して起きる。 「お兄さん、大丈夫……?」 コッシュはソウロウの傍に寄った。 「あぁ、大丈夫だ…… それより私…… いやあの人は誰だ?」 「泉の精だってさ」 「そうか…… それで、あの人が助けてくれたのか?」 「そうだよ!」 「礼を言う。 泉の精殿!」 ソウロウは泉の精にお辞儀をした。 「いえ…… それより、あなたがたは変わっていますが、悪意はなさそうなので」 すると、泉の精は再び水の中へ潜っていった。 「あれっ、何しにいったんだろ? コッシュは首をかしげた。 その後、間もなく現われ、泉の精が大きい袋と紙を持って出てきた。 「これを持ってゆきなさい。 きっと役に立ちます」 それを、泉の精はコッシュに渡した。 「あなたがたの健闘を祈ります。 それでは」 そして、泉の精は水の中へと帰っていった。 メルはすぐさま袋の中を確認した。 「えっと…… この袋には肉が沢山入っているわ!」 「紙には…… 何か矢印みたいなものが書かれているぞ……」 「何だかよくわかんないけど、役に立つって言ってたよね?」 3人は貰ったものを一応、確認した。 「そうだな。 紙は後のため、肉は貴重な食料だ!」 「それじゃあ……」 コッシュは行き先を言おうとしたが、どっちから来たか、忘れてしまった。 「少年あっちだ。 一直線通路なのだから、あそこを抜けるしかないだろ」 ソウロウは先のところに指を指した。 「そうだね!」 「早く行きましょ。 あのライバルに先にとられちゃうかもしれないし!」 「そうだな、メル! いくぞ!」 3人は泉のある道を真っ直ぐ進んでいくことにした。 |
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