だが、壊れた破片はあるものの壁があった。
「何これ? 何で、ここに壁があるの?」
「わからんが、何かの仕掛けがあるのだろう」
「それより、どっから岩が転がってきたわけ……?」
 メルは岩が出てきたことに不信感を抱く。
「途中に出てくる場所もないし……。 上も……?」
 それを考えて、3人は上を見上げた。
 そこにはスイッチらしきものがある。
「あのスイッチを押せば開くかもしれない!」
 3人は同時にハモって言った。
「みんな、同じことを思ったわけね……」
「メルたちも思ったんだ」
 3人は顔を合わせ、うなずく。
「よし、あれを押すぞ!」
「でも、どうやって? 高すぎだよ……」
 見上げるほど高い位置にあるため、
 常人には到底、届く範囲ではなかった。
「私が上って押してきてやるぞ!」
 ソウロウは壁をキックしながら登っていく。
「うわ、すごいよお兄さん!」
 そして、ソウロウはスイッチを叩いた。
 すると、阻んでいた壁が持ち上がり開く。
 その後、ソウロウは上手に降りてきた。
「……この先もこんな感じの仕掛けの壁があるのかなぁ……」
「だろうな、少年! だが、ココまで来たのだ。 諦めず、いくぞ!」
「そうよ、今さら何が起こっても、不思議に思わないわ」
「そうだね。 それじゃ、進もう!」
 3人は、壁が消えて、そこの奥に入っていく。
 そうした中、また壁が合った。
「……今度はどうなってるんだ?」
「あそこにスイッチが走ってるわ!」
 メルは驚いた顔して指す。
「スイッチが走っているって…… スイッチが生きてるわけじゃあるま……」
 コッシュはメルの指す方向を見た。
 だが、本当にスイッチが走っている。
 どうやら、ゼンマイ式になっていて、4つのタイヤで動いているようだ。
「よしっ! 少年とメル! 協力して止めるぞ!」
「わかったわ!」
「う、うん」
 3人は力を合わせ、追い掛け回す。
 挟み撃ちにして捕まえて押さえた。
「ふぅ、すばしっこいヤツだったわね……」
「まあ、私たち3人に掛かれば楽勝だがな!」
 ソウロウはそのスイッチを手に取る。
 そして、壊れそうになるほど叩いて押した。
 半壊だったが、もう動くことはない。
 壁は開き、次へ進めというかのような感じだった。
「……後、何枚あるかなぁ?」
「20枚くらいではないか、少年?」
「そんなにあったら…… 壊して行きたいわね!」
 メルはさりげなく恐ろしいことを言う。
「いやいや…… そんなことは無理だと思うよ。 きっと硬い壁だろうし」
「冗談に決まってるじゃない! さ、早く行くわよ!」
 メルはテンションを上げて進んでいった。
「そうだよね……! いこ!」
 3人は、そう言って2枚目を抜けた。
 そうすると、3枚目の壁にぶつかる。
 今度は、スイッチがどこにもなかった。
「あれっ…… スイッチが見当たらないんだけど……」
「そうね、どうやってあけるのかしら……」
 よく見ると、色の違う地面が左右対称の位置に2箇所あった。
 そこにはこう記されている。

――2ヶ所を埋めよ。 さらば、道は開かれん。

「えっと…… つまり、2ヶ所を踏めって言うことだよね?」
「ただ、踏んだだけでは開かんぞ、少年! こういうのは……」
「2ヶ所同時に、立ちっぱなしにしないといけないっていう感じよね?」
 メルは、なぜかやり方を知っていた。
「何でわかるの? メル?」
「こういう感じのゲームとかにあったのよ! RPGとかの謎解きに!」
「いやいや……」
 その答えに、コッシュは呆れる。
「だが、それは案外、正しいかもしれんぞ!」
「それじゃさ。 誰が、そこに立つの?」
 その前に、立つ人を決めなくてはならなかった。
「少年とメル! そこに立ってみてくれ」
 ソウロウには考えがあるらしく、
 2人を、色の違うところに指示する。
「えっ? オッ…… お兄さんは?」
「まぁ、見てから考えるから、まずは頼む!」
「あ…… うん」
「わかったわ」
 とりあえず、コッシュとメルはそこに立った。
 すると、案の定、壁は開いた。
「お、ちょっと、その場を離れてくれ」
 再び壁は閉まる。
「やはり、閉まるか…… まぁ、この程度なら……」
「で、何か思いついたの? お兄さん?」
「開いた後、私が壁の前に立って、閉まる時、そこで仁王立ちをする!」
「ええっ!」
「お兄さん、大丈夫なの!?」
 2人はその言葉に驚いた。
「まあ、鍛えたこの体があれば、少しなら持つだろう」
 自分の腕力に自身があったの、やることに問題はない。
「そっかぁ。 なら、やってみよう!」
 そういうと、二人は再び色の違う所へ立った。
 すると、また壁が開く。
 そこで、ソウロウは境目に立った。
「よしっ、今だ! 走って駆け抜けろ!」
 ソウロウは大声で叫ぶ。
「うん、行くよ! メル!」
「わかってるわ!」
 そして、全速力でソウロウのところへ向う。
 それと同時に、壁は閉まり始めた。
「うぉぉ――!」
 先ほどの手はずどおり、壁の閉まるのを押さえる。
「行かなくちゃ!」
「うん!」
 2人は潜り抜けた。
 その後、ソウロウも扉を少し持ち上げる。
 その一瞬の開きに、ダッシュで向こう側に行く。
「ふぅ…… 抜けられたな!」
「うん、お兄さんが居なきゃ通れなかったよ!」
「そうね…… それで阻む壁は、もう無いわね……?」
 辺りを見渡しても壁は無く、先は穴の開いた道だけだった。
「あ、良く見ればそうだな。 後は進む道が1つだけ……」
「そういえば、岩を転がしてきたのって……」
「あれだ! 少年!」
 ソウロウは上を指差した。
 そこには、発射台のようなものがある。
「あぁ…… なるほどね……」
「まあ、もう関係ないからな! 進むとしようか!
「そうだね!」
 3人は歩いていった。
「……何か、この先にすごいオーラを感じるんだけど」
 メルは少し鳥肌が立つ。
「大丈夫だ! 何があろうと、この私が少年とメルを守るぞ!
「うん、頼りにしてるよ」
 そして、次の道へと向った。
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