その道を歩き、大きな部屋にやってくる。 そこには、ソウロウのライバルの姿があった。 「遅い。 ソウロウ」 「お前…… 何で先に行かなかったんだ!?」 「決まっているだろ。 貴様と決着を付けるためだ」 男は右手で刀を抜いて両手で持ち、それをソウロウに向ける。 「え?」 コッシュは何が何なのか分からなくて驚いた。 「……俺の名はサイゾウ。 良く覚えておけ、子供」 今さらながら男は名前を名乗る。 コッシュはあることに気がついた。 「ねぇ。 お兄さんは素手で、サイゾさんは剣を使うって可笑しくない?」 「何を言う。 ソイツは剣使いのはずだ。 てかサイゾではなくサイゾウ……」 サイゾウはソウロウを剣使いといい、さらに名前を呼び間違えられて戸惑う。 「は? こぶしの、拳使いの間違いじゃないの? お兄さんが剣を使うって……」 「サイゾウの言うとおりだ、少年! 私は剣使い…… だったというべきか」 「えぇ! お兄さん本当に剣を使ってたの!?」 衝撃的な事実に、コッシュは開いた口が塞がらない。 「信じられないわ…… イメージ的に」 「まあな! ギャップがあるとは、当時よく言われたものだ!」 「お前…… なぜ、やめたのだ! あんな……」 「川にウッカリ剣を落としてしまってな! それから、触れる機会がなくなった!」 ソウロウは笑っていった。 「はぁ? そんな理由で剣の道をやめたのか!?」 あまりの下らない理由にサイゾウは怒鳴る。 「ああ! そうだ!」 ソウロウは開き直るように返事をした。 「俺は…… 今まで何のために……」 サイゾウは頭を抱えて落ち込む。 「だが、お前が望むなら、その勝負受けてたとう!」 「いや、お兄さん。 使ってなかったなら、その分ハンデじゃ……」 「なぁーに、ちょっと使えばあの頃の感覚、思い出すさ!」 なぜか、ソウロウは自信満々だった。 「ソウロウ…… 死んでも知らんぞ?」 サイゾウは無謀さに少し戸惑う。 「それで…… 剣を貸してくれ」 ソウロウは手を出し、自分の剣を要求した。 「ま、そういうヤツだと思って用意しておいた。 お前の使っていた剣に近い剣だ」 「用意してあったのかよ!」 コッシュは思わずツッこんでしまう。 サイゾウはその取り出した剣をソウロウへ渡した。 だが、その剣はとても短い、全長で鉛筆ぐらいのしかない短剣だった。 「おぉ、これだこれだ」 昔使っていた剣と似たような感触だったようで、ソウロウは満足している。 「え、それで闘うの、お兄さん?」 「明らかに、リーチ短すぎない!?」 2人は疑いの目でソウロウを見た。 「私はこれで極めたんだ! 問題はない!」 ソウロウははっきり断言した。 「では、ソウロウ。 そろそろ始めようか」 「あぁ…… お前はいっつも負けてばっかりだったからな!」 始めようとしている場から、余計な話が入る。 「いや、負けでなく引き分けだったはずだ」 サイゾウは否定をした。 しかし、昔のことであり他2名も立ち会っていないので審議は不明。 その後、ソウロウたちの顔が変わる。 「昔の事は忘れたのだ! さあ、いくぞ!」 そういうと先制をソウロウが仕掛けた。 飛び上がって一気に近づき、突く。 だが、サイゾウは素早くよけた。 「あまい、ソウロウ!」 刀を振るい、後ろから攻撃する。 だが、素早く姿を消して見失った。 「甘いのはお前だ!」 上空にソウロウがいく。 そこから一気に急降下して反撃に出た。 「くっ!」 サイゾウは何とか刀で受け止める。 「やるな……! だが、この程度では負けん!」 「当然だ!」 2人は同時に飛び上がり剣と刀を目まぐるしく動かす。 そして、激しい音を立てていた。 互いクロスするように前に出て、背中合わせになる。 「まだまだ!」 「もっとだ!」 振り返って、再び飛び上がった。 今度はサイゾウは刀を振るい刃を飛ばす。 それをソウロウは短剣で弾き返した。 それが四方八方に飛んでいく。 「ちょ! 僕たちまで被害が被ってるんですけど……!」 「コッシュ! わたしたちは部屋の外にいくわよ!」 「そうだね……」 コッシュたちは前の部屋とここの部屋をつなぐ、通路の所へ行った。 「そろそろ…… 終わりといこうか」 「そうだな、この一撃に全身全霊を懸けようではないか!」 2人は睨み合い、剣と刀を構える。 体と心を落ち着かせていた。 「影鬼斬(かげきぎり)!」 「彩候斬(さいこうぎり)!」 同時に互いの剣技を繰り出した。 決まった後、2人は止まる。 「くっ……」 ソウロウは態勢が崩れた。 勝ったのはサイゾウだと思わる。 「……っ」 だが、サイゾウも崩しだし、俯いたまま倒れた。 本当に勝利したのはソウロウだ。 「私が勝ったか……」 ソウロウは、少し信じられないという感覚だった。 「お兄さん!」 コッシュたちは、終わったのを見計らい戻ってくる。 「少年か…… 私は勝った。 男の対決にな」 「で…… あの人はどうなったの……?」 「死んださ」 ソウロウは悲しげな声で言う。 確かに言うとおり、サイゾウの横たわっていた。 「えぇ――!」 コッシュとメルは開いた口が塞がらない。 剣士とはここまでしなくてはならないものなのか……、 その前に、お兄さんが人を殺せるのかということに。 「冗談だ! アイツは生きている。 急所は外したからな!」 ソウロウは、すぐに笑い顔に戻った。 「あ…… よかったぁ……」 「ライバルとはいえ、を殺すことはないわよね……!」 2人は変な冗談に少し戸惑ったが、 それを聞いて、2人は安心する。 「……ソウロウ」 サイゾウは起き上がった。 そして、ソウロウに呼びかける。 「どうした、サイゾウよ?」 「俺は負けた。 本気でブツかって……」 「だから?」 「だから、俺を殺せ!」 ソウロウの腕を掴み、自分に止めを刺させようとした。 「なぜ、お前を殺す必要がある?」 「生き恥は晒したくないんだ」 サイゾウはソウロウとの決着を最期と決めている。 だから、ソウロウに負けた以上生きていてもしょうがなかった。 「敗者は勝者に従う」 ソウロウは奇妙な言葉を口にする。 「何を言っているのだ、ソウロウ……?」 「お前は前、そういっていた頃があったよな?」 「ああ、確かに昔、言っていたような……」 うるおぼえながら、サイゾウは言っていたような気がした。 「ならば、その時のお前の考え。 ここで使わせてもらおう!」 ソウロウは何か裏のあるような顔をしてサイゾウを見る。 「な、なにっ!?」 サイゾウはソウロウの不気味な笑いに驚いた。 「お前は、一度、死んだと思って、私たちと一緒に来い!」 「は!?」 サイゾウは変な展開に絶叫する。 「いいだろ? ここで私にトドメをさされたと思って、私のロマンについて来い!」」 「そうだよ! 死ぬくらいならお兄さんの手伝いしてよ!」 「うん、わたしもそれがいいと思うわ!」 「……くっ。 仕方がない。 オマエたちに付き合ってやる」 ソウロウと子供2人に上手く纏められ、サイゾウはソウロウの仲間となった。 それと、闘ったときの剣はサイゾウの元へ返した。 |
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