仲間になったことで、改めてコッシュやメルとの自己紹介を済ます。
 そうして、4人となったところで、恐らく最後であると思われる道に入った。
 そこは、今までの空気が違っている。
「空気どころか…… 全体的に可笑しいよね。 これ……」
 4人が見たものは、明らかに不自然な空間だった。
 壁は銀で出来ており、天井は鉄、地面や石は銅で出来ている。
「可笑しいを通り越している…… 何なんだこの空間は」
「こ、これ、全部持って帰ったら、いくらになるかしら……!」
 メルは石に触れ少しニヤついた。
「全部持って帰られるとしたら、数十万、いや数百万ぐらいにはなるのではないか?」
 ソウロウは大体、検討した額をメルに言う。
「そんなに!?」
 メルは驚きのあまり、大声を張り上げた。
「メルって…… 現金だね……」
 コッシュは強欲魔神を見るかのようにメルを見た。
「じょ、冗談に決まってるでしょ!」
 メルはコッシュの顔面を数発殴る。
 半ば、本気のようにも見えた。
「えー、顔が冗談じゃ……」
「うるさいわねっ!」
「まあまあ、2人。 落ち着け。 そろそろ指輪のある部屋にいけるはずだ」
 サイゾウは本来の目的を思い出させる。
 メルは改めて気を入れた。
「そうね! 目的はそれだもん。 張り切っていくわよ!」
「痛…… もう、僕は何も悪くないのに……」
 コッシュは顔を抑えながら歩いていく。
「いや……」
 金のことでニヤニヤするメルもメルだが、
 それを言ってしまう、コッシュもコッシュとサイゾウは思った。
 とりあえず、前に進んでいく事にする。
「……何かしら。 何かぎらぎら光ってるせいか、同じ場所を歩いてる気がしてきた」
 同じ道が続いているのは錯覚だと、メルは思った。
「いや、それは、あながち間違ってはいないかもしれない」
 メルの言っていることをサイゾウは否定しない。
「え?」
 そういわれて、メルは戸惑った。
「さっき、俺がそこの石に記しておいたのがある」
 サイゾウは通っている時に、目印として石に傷を付けている。
「……それじゃ、途中分岐していた所に意味があるのかな?」
 途中は分かれ道があり、適当に進んでいたので気が付かなかった。
「何か規則があるんだな。 これは」
 行き方があるとサイゾウは睨んだ。
「闇雲には行けないようにされているんだろうな!」
「でも、その規則って、どこにあるの……?」
「そう、まずはその規則が分からなくてはいけない」
「こういうのは、何か、方向が書かれていたりするのよね……」
「方向…… 方向!?」
 コッシュは何かを忘れている気がした。
 腕を組み、ここに来るまでのことを辿ってみる。
「あれだ!」
 忘れている、それを思い出した。
「どうした、少年!」
「前、貰ったじゃん。 矢印の書かれた紙!」
「紙…… あれか!」
 とっさに、ソウロウは持ってきた袋の中を確認した。
 そして、泉で貰った、矢印の書かれた紙を取り出す。
「これだな、少年!」
「そうそう、それだよ!」
「コッシュにしては、珍しく冴えてるじゃないのよ?」
「まあね」
 コッシュは手で鼻の辺りをこすった。
「ちょっと、思い出したからって天狗になってるんじゃないわよ」
 メルはコッシュの背中を叩く。
 その後、不思議そうにサイゾウが近づいてきた。
「その紙って、どこで……」
「まあ、色々とあって」
 説明するのも面倒なので、
 色々という事でコッシュは片付ける。
「そうか。 そんなことはいい。 その紙、貸してみろ」
「あ、うん」
 コッシュはその紙をサイゾウに渡した。
「ふむ。 この通りに行けば行けそうな感じだな」
 そういうと、サイゾウは先頭に立ち進んでいく。
 前も通っているはずの、十字路があった。
「ここは右か」
 サイゾウたちは右へいく。
「ここは左だな」
 次は左にいった。
 闇雲に進んでいたときは同じ所へ戻ってきていたが、
 紙に書かれている通り進むと、戻ってこなかった。
 どうやら、この紙に書かれていることは信用できるものだ。
 なので、その通りに進んでいったが、途中、サイゾウが足を止める。
「ん? 何かここが薄れて見えんぞ?」
「本当だ……」
 中盤の辺りの一文字の矢印が消えていた。
「……まいった。 これではココからどう進めばいいか、わからん」
「こういう時は勘! 私の勘で行くぞ!」
 ソウロウは自分についてこい、と仕切る。
「待て、ソウロウ。 オマエの勘は当たったことがなかった」
「サイゾウさんもあったんだ? それで、僕も…… 前、振り回されたし」
「わたしは、お兄さんの記憶だけど、当たってないのよね……」
 ソウロウの勘ではいけそうにないと3人は確信した。
「だから、オマエは信用できない」
 そういって、サイゾウはソウロウの意見を却下する。
「なら、どうするんだ! ここは!」
 他に方法があるのかと、ソウロウは怒った。
 そう言われると、すぐに返答できずサイゾウは考える。
「そこの…… コッシュといったか。 お前の思ったほうを言え」
 コッシュのほうを指した。
「えっ? 僕?」
「少年に任せるのか?」
 ソウロウはその考えに驚き顔だった。
「そうだ。 意外に当たったりしそうだろ?」
 サイゾウは、いい加減な考えで決める。
「うん…… 本当にいいの? 僕で?」
 コッシュはかなり不安だった。
「ハズれても死ぬことはないから言ってみろ」
「うん…… じゃあ、左!」
 コッシュはとっさに思った方角に手を伸ばす。
「わかった。 左に行くぞ!」
 そういうと、4人はコッシュが言った方向へ進んだ。
 そちらが、当たりであることを祈りつつ……
「……どうやら、当たりだ」
 ハズれていれば、傷を付けた部屋に戻っているはず。
 だから、正解だという事が確認できた。
「子供の勘はやはり、あたる場合もあるものだな」
 サイゾウはあまり期待していなかった口ぶり。
「え……」
 コッシュは何か複雑な気持ちだった。
「気にするな。 当たったことを喜べ。 では行くか」
「そ、そうだよね!」
 コッシュは、苦笑いしながら喜んだ。
「よし、少年! 後は、紙なりに進むだけだな!」
 ソウロウのモチベーションも上がり好調だった。
「もうっ、この人たちって調子いいわね……」
 何だコレと思いながら、メルもついていく。
 そうして、その紙の通り進んでいった
 すると、今度は矢印の方角には道がないところに来る。
「今度は道が、ない……?」
「えっ、どういうこと?」
 コッシュが気になってサイゾウの近くに寄った。
「そこが壁になっているのだ」
 その地図をコッシュにも見せた。
 見比べてみても、確かに道がない。
「こういう時は、あれだと思うわ。 壊せば通れるみたいな!」
「なるほど…… 試してみよう……」
 メルが何気なく言ったことを間に受け、サイゾウは試そうとする。
「少年達! 離れていた方がいいぞ!」
「あ、うん」
 コッシュとメルは少し距離をおいた。
 サイゾウは刀に手を当てて構え、じっと止まる。
「俺流…… 修羅斬!」
 二本のカマいたちが壁に突き刺さる。
 すると、物凄い爆発が起こり、そこの岩が崩れた。
 その先に、正しき道が現われる。
「埋っていたみたいだな……」
 サイゾウは刀を納め、先を見た。
「というか、凄い迫力!」
 棒読みでコッシュは驚いてみせる。
「コレくらいは剣を極めようとするものは誰でも出来る」
「そうなんだ?」
 コッシュは平然とした。
「それでは、行くか……」
「そうだね」
 そういって、再び書いてある通りに進む。
 そして、そこを抜けることができ、ある部屋にたどり着いた。
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