「ふぅ…… 久しぶりに外に出たね……」 コッシュは外に出て思いっきり深呼吸をする。 外の空気は、洞窟の中と違って泥臭く湿ってない、自然の香りだ。 「……そうだな、それにしてもあっさりしていたな!」 ソウロウはテンションが戻っている。 本当に敵も出てこなく番人までの道は短かった。 そして、しばらく歩いて街道に戻ってくる。 「あぁ、懐かしいな……」 コッシュは故郷を懐かしむかのような感じで目を光らせた。 「そうだな、少年!」 ソウロウも同じく懐かしんだ。 そんな中、コッシュはふと思いつくと、ソウロウのほうを見て言う。 「……ねぇ、指輪の鑑定してみない?」 コッシュは指輪が本物なのか気になっていた。 「うむ……」 ソウロウは顔を渋らせながら頷く。 「本物だとは思うけど…… もしものことを考えてさ……」 「そうだな……」 ソウロウは思いがけないことだが、偽物の可能性は少なかれある。 コッシュの意見に、一理あると思った。 「偽物だったら、可哀想だしね……」 「よし、鑑定に行くぞ! 少年!」 指輪の真偽を確かめるべく、2人は指輪鑑定所へと向った。 「ここが鑑定所だな!」 「そうみたいだね」 2人は鑑定所の前まで来た。 「さあ、入るぞ…… 少年!」 ソウロウは先に店の扉を開け、走りこんでいった。 「……うん」 コッシュも続いて店に入っていった。 「おい、店のオヤジ! たのも――!」 「何だ…… 騒々しい…」 店主が店の奥から出てきた。 「指輪の鑑定を願いたい!」 「そうかい。 それで、どれのことだ?」 「その少年の右手に持っているのだ!」 そう言うと、コッシュの方を指した。 「あ、これです」 コッシュは店主に指輪を渡した。 それを手に取って見ると、すぐに店主は口を開いて言う。 「ん…… 10万だな」 「寝ぼけているのか! オヤジ! その指輪がそんな……」 ソウロウが言いかけたところ、店主は口を挟んだ。 「あんっ? どう見たってこれは10万だ。 そこにあるのを見な」 硝子でできた入れ物の中には同じものが沢山並んでいた。 「あんた、これをどこで手に入れたんだ?」 「洞穴の奥の、モンスターの……」 また言いかけたところ、店主は口を挟んだ。 「ああ…… やっぱりそれか」 「やっぱりそれって……」 ソウロウはあっさり言われて戸惑った。 「あんたらも、騙されたんだよ」 「騙されただと!?」 薄々は感じていたが、信じがたく怒鳴った。 「ああ、そうさ。 あの洞穴には、突然、変なモンスターが湧き出て来る」 さらに店主は話を続けた。 「伝説に出てくる指輪の偽物。 それを、エサにして探検家を喰らうモンスターさ」 「まさか……!」 「まさかではない、本当だ」 店主は真実だと口にした。 「まあ、そのモンスターを狩って、その指輪を売って金にする探険家もいるがな」 それと、ついでに余談も言った。 ソウロウはそれを聞いて目を白黒させた。 「世の中は広いな……」 コッシュは横で聞いていて感心していた。 「では、しかたがない。これはお前に売る!」 ソウロウは指輪を売ることにする。 目的のモノで無い以上、持っていても意味が無い。 「よし、取引は成立だ。 ほれ、10万だ」 「おう!」 ソウロウはその10万を受け取ると走りだした。 「また、よい指輪を見つけたら、ここに来てくれ」 話を聞く間もなく、ソウロウは店の外にいる。 「……やれやれ、騒がしい男だ」 「申し訳ないです……」 コッシュが何か気まずそうに謝る。 「お前が謝ることは無いだろ……」 「いや…… まぁ……」 「そうだ…… ちょっと待ってろ」 店主はそういうと、店の奥に入っていった。 しばらく店の中にいて、何か探しモノをしているようだ。 コッシュは戻ってくるまで大人しく待っていた。 「これだこれだ……」 そして、店主は声をあげながら奥から出てきた。 手には腕輪のようなものを持っている。 「坊主、これを持っていくがいい」 「何ですか?」 「サイレンスブレスレットだ。 時々だが、敵の攻撃を封じられる腕輪だ」 「いいんですか、僕なんかに……」 コッシュは遠慮しながら聞いた。 「あんな、野獣の様な奴と、一緒に居ると色々危険があるだろう」 「まあ…… 確かに」 「だから、俺からのプレゼントだと思って受け取ってくれ」 「じゃ、遠慮なく……」 店主から腕輪を受け取ったコッシュ。 「何をしている! 早く行くぞ少年!」 ソウロウが外で待っていたが、中々来ないので怒っていた。 「あ、じゃ、外で呼んでるので…… ありがとうございました!」 「おう、頑張れよ。 坊主」 店主はコッシュに手を振りながら言う。 コッシュは挨拶を済ますと店を後にした。 「少年! 何をしていたのだ!?」 「ちょっとね!」 コッシュは笑顔だった。その後、コッシュの腹が鳴る。 「あ…… 僕、何も食べてなかったんだっけ」 探検で疲れ果てて、空腹を忘れていた。 「肉ならあるぞ!」 「いや…… 僕は生はちょっと……」 「そうか…… まあ、金が手に入ったし、どこか食べに行くか!」 「うん!」 2人は飲食店に行くことにした。 「少年! 何が食べたい?」 「うーん…… 何でもいいよ!」 特に好き嫌いもないし、第一お腹空き過ぎなので早く食べたかった。 「じゃ、ここの、焼肉好焼に入るか!」 「焼肉屋か……! オッさんらしいや!」 「オ…… まあ良い、入るぞ!」 ソウロウはいつもの如く殴ろうとしたが、今回だけ見逃してくれた。 そのまま、近くにあった焼肉屋に入っていった。 「おいしい! やっぱり、お腹が空いてると余計においしいよ!」 「うむ、確かにデリシャスだ! 生より焼いた方が美味い!」 2人は美味しそうに食べていた。 その後、満足するまで食べた。 「ふぅ…… もう食えんな……」 「もう、お腹いっぱい……」 その後、ソウロウはその場で立ち上がる。 「さて、腹ごしらえしたし、次は買出しだ!」 「えっ、何の買出し?」 コッシュは何を買うのか聞いてみた。 「少年は生肉は食えんのだろう? だから、それを買うのだ!」 「そっか…… 僕のために」 自分を気にかけてくれるソウロウにやや感動した。 「だが、今日は疲れてるから休み、明日にするぞ!」 「そうだね…… ダンジョンで草臥れたし……」 「それでだ! 今日は宿屋に泊まるぞ!」 ソウロウは今日の疲れを癒すため、宿屋を提案する。 「宿屋か…… いいよ!」 コッシュも納得して、腕を振り上げる。 「よし、それでは勘定を済ませて宿屋に出発だ!」 レジに行き、ソウロウは勘定を済ました。 そして2人は店を後にする。 外はだいぶ暗くなっていた。 「それで宿屋はどこにあるのだ?」 「うん、それじゃあ僕についてきて」 それに対してソウロウもうなずき、コッシュが案内することになった。 |
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