「起きろ! 少年!!」
 ソウロウは大声で叫んだ。
 カーテンは開いていて、明かりが直にコッシュにあたる。
「まだ、眠かせて……」
 コッシュは枕に抱きつき中々、起きれなかった。
「起きぬか!!」
 ソウロウはコッシュの布団を持ち上げて吹き飛ばす。
 そのまま転がっていき、壁に直撃した。
「いたた…… もう、強引……!」
「少年が起きないからだろう!!」
 ソウロウが怒鳴り、コッシュは渋々起きあがる。
 その時、メルがやってきた。
「お兄さん、何があったの?」
「あ…… ねこ…… メルか! 少年がなかなか起きんかったからな!」
「なるほどね……」
 コッシュのほうを見て、呆れた顔をする。
「メルは終わってるぞ、少年も早く出発の準備をしろ!」
「……うん」
 コッシュも浮かない返事をして、洗面器にいって顔を洗う。
 そして、リュックを背負ってソウロウの元へ戻ってくる。
「終わったか、少年?」
「まあね」
「では、まずは、買い物に出発だ!!」
 ソウロウは部屋の扉を開けた。
 コッシュたちも後を追って部屋から出た。
「ん?」
 ソウロウは扉の手前に1枚の広告が落ちていることに気が付く。
 ソウロウはそれを拾って読んだ。
「これは……! 何だ!!」
「えっ、何が?」
 コッシュもソウロウの手にしている紙を見た。
「本当…… 何これ…… 掘り出し物がある? 来なければ損、来れば得?」
「少年も何だこれ、って思うだろ?」
「うん、思うよ」
 2人は首をかしげて悩んでいた。
「何悩んでるの? 別に行ってみればいいじゃない!」
「それもそうだな、メルの言うとおりだ! 百閧ヘ一見にしかずだ!!」
「うん、確かにね!」
 3人は紙に書かれていた地図を頼りに、不思議な店に行ってみる事にした。
「ここか……?」
「この紙によれば、みたいだね……?」
 紙に書かれていた店の前までやってきた。
 ソウロウはそこで見上げながら、グッと手を握る
「よし、いくぞ!」
 ソウロウは単身で入っていった。
「気味の悪い店ね……」
 メルはチュウチョしている。
「しかたないじゃん! 入ろう。メル!」
 コッシュはメルの背中を押して2人も入っていった。
「いら〜〜しゃ〜い……」
 不気味な声が奥から聞こえてきた。
「……!?」
 その声に、2人は鳥肌が立つ。
 その後、静かに足音が聞こえてきた。
 その足跡はどんどん近くなってくる。
「おいっ! 少年とメル! 遅いぞ!」
 その足音はソウロウだった。
「えっ? お兄さん……?」
「おう、早く来い。 奥に店があるぞ!」
「あ…… うん」
 2人はソウロウの後について奥に進んだ。
「客か? 久しぶりに見るな……」
 そこには店があり、人がいた。
 愛想のなく、表情にも変化が無い。
「えっ? 久しぶりって……?」
「……客は滅多に来ないからな。 ところで、お前達は俺のチラシで来たのか?」
「そうだ! この私が見つけたぞ!」
 ソウロウは自慢げに大きい声で言った。
「そうか…… 運のいい奴等だ。 このチラシは2枚しか刷っていない」
「2枚!?」
 3人はその印刷部数に驚いた。
「何をそんなに驚く? 俺は儲けとかはどうでもいい」
「じゃあ、何のために?」
 コッシュは店の人の反応に疑問を感じて聞いて見た。
「……客が喜べばよい。 尚、お前達が最後の客だ。 今日限りで閉店だ」
「そっか…… じゃ、そこにある食べ物を買っていくよ!」
 肉、魚、野菜などが豊富に揃っていた。
 一通り手に取り、店の人のいる前のレジに置く。
「おう、毎度。 あ、小僧、これは俺からのサービスだ」
 店の人は金を受け取ると、腰のポケットから杖を取り出した。
「えっ? 何これ?」
「ボムワンド、戦闘時に役立つ」
「……?」
 コッシュは何のことか分からず首をかしげた。
「まあ、使い方はこの説明書に書いてある。 必要なとき使え」
「どうも……」
 コッシュは苦笑いしながら、杖と説明書を受け取った。
「では、帰るがいい」
 店の人がそういうと、辺りに風が発生した。
「えっ?」
 3人は驚いて瞬きをする。
 その後、3人は意識を失った。

「……あれ?」
 メルは起き上がって周りを見渡した。
「コッシュ! お兄さん! 起きて!」
「うん…… ここは……」
 2人も目を覚ました。
「……ここは?」
「どうやら、商店街みたいよ」
 メルが言うが、確かにあたりは商店街。
 いつの間にか戻されていた。
「あれっ? ……僕ら、店に居たよね?」
「ああ、そうだ…… 少年!」
 3人はその場で悩んだ。
 今まであったことを思い返してみるコッシュ。
「……変な風が起こって、そして……」
「まあ、よいではないか! 買うものは買ったのだからな!」
「ま…… そうだね。 じゃ、ダンジョンに行こう!」
「うん、行くわ!」
 何が起こったのか、いつまで考えても分からない。
 なので、気にせず洞穴へ向かった。
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