突如、後ろから何者かの斬撃。
 コッシュは気配を感じてかわす。
 だが、狙いはコッシュでは無くメル。
「何やってるんだよ、フアンさん!」
 コッシュが見たもの。
 それは仲間のフアンだった。
「コッシュ、大人しくしろ。 メルの命が欲しいならな」
 フアンはメルの顔に剣を向ける。
 メルは脅えて声も出ない。
「何のマネだよ、フアンさん!?」
 コッシュはわからなかった。
 フアンのほうに近寄ろうとするコッシュ。
「理解に苦しむだろうが、フアンは俺様の手下だ」
「そんなはずあるか!」
 コッシュは必死に訴えかける。
「じゃあ何だ。ソイツの行動は。 お前の大事な者に刃を向けてるぞ」
「うるさい!」
 剣を抜き、ビフラに近寄ろうとした。
 だが、フアンが剣をさらにメルに近づける。
「コッシュ。 拙者は本気だ。 それ以上、ビフラ様に近づけばコイツを殺す」
 今までとは正反対の目をしたフアン。
 コッシュは思わず涙が出して言った。
「なんで、なんでだよ! フアンさんは僕らの仲間じゃなかったの」
「全て芝居だ。 君らを捕らえるね」
「見損なったよ、フアンさん」
「それでは武器を置いてもらおう。 コイツの命が欲しいならな」
 フアンは冷たい目で指示をする。
 コッシュはそれにしたがって剣を降ろした。
 フアンはメルに刃を向けながら、ゆっくりと近づく。
 屈んで剣を拾う。 そして、再び戻っていった。
 その後、メタルジャーがやってくる。
 メタルジャーはコッシュを縛り、さらにメルも縛った。
「終わりました。 ビフラ様」
 フアンはビフラに頭を下げる。
 ビフラは王座を立ち、フアンに近づく。
「ご苦労だったな、フアンよ」
「ありがたきお言葉、嬉しく思います」
「フアン、もう下がってよいぞ」
「失礼します」
 そう言って、フアンは後ろに歩いていく。
 扉を開けて、部屋を出た。
「さぁて。 貴様らガキ。 覚悟はいいな?」
「な、何をする気だ!」
「なーに。 今までの仕返しだ。 これは蹴られた時の分」
 そう言って、ビフラはコッシュの顔を蹴る。
 だが、一発蹴って足を止める。
「……なんかツマらん。 村に行って食糧を奪ってやるか」
 ビフラはそういうと、フアンが出たほうの扉から出る。
 階段の前で、何かを考え始めた。
「そういえば、あのガキの村の連中はどうしたんだろうな」
 腕を組みながら考えるビフラ。
 1人でブツブツといって降りていく。
「気になるな。 行ってみる価値はあるか」
 ビフラは顔を上げ、出向こうとする。
 現地点で、ビフラの周りにメタルジャーはいない。
 そこに、フアンが戻ってくる。
「どうした、フアン。 まだ用があるのか?」
「はい。 後1つ、忘れていたことがありました」
「何だ。 言ってみろ」
 ビフラは余裕を持って話をする。
 しかし、この油断がビフラの命取りだった。
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