「あなたを殺すことを忘れてました」 フアンはビフラに斬りかかる。 「ぐはっ…… 何をする、フアン……?」 完全に安心しきっていたビフラは見事食らう。 腕の辺りをざっくり斬られ、そこから血が滴る。 「お前を倒すためにここまで芝居を打った」 フアンは最初からこうするつもりだった。 ビフラの裏の裏をかいたのだ。 「俺様を殺せば、貴様の妹の命は死ぬぞ……」 「そのことだが、数日前の夜、やってきた男のもとにいる」 「ありえないな! 俺様の牢獄から抜けられるか!」 ビフラは笑い飛ばした。 「報告します。 地下牢の人質がいなくなっています」 「な、なんだと!? では、お前がいっていることは本当か!」 「そうだ! それで、この私が一緒に旅をしていたのだ!」 その声と共に影から現われた男。 「なんだ、このオッさんは!?」 ビフラは、おもわず声に上げてしまう。 「オッさんではな――い!!」 その男はビフラの顔面を殴り、吹き飛ばす。 「そう、彼の名はソウロウ。 コッシュやメルの知人だ」 フアンがそういうと、その後に2人がやってくる。 「フアンさん…… 裏切ってなかったんだね!」 「お兄さんから聞いたわ。 そういう計画をしてたって」 2人はソウロウに縄を斬ってもらい来ることが出来た。 そして、ソウロウとフアンがあった時のことを聞いた。 「そうか…… 演技だったとはいえ、すまなかった」 「いいよ。 ビフラさえぶっ飛ばせれば!」 そうこういっていると、ビフラが話に割り込む。 「俺様を無視するな。 それであの牢獄からどうやって出た?」 「スリップだ。 セラは謎のスリップで別世界へと行き彼と共にしていた」 「私のいた世界にセラが倒れており、それを救ったんだ」 2人はどんどん話を進めていく。 コッシュとメルは黙って聞いていた。 ビフラはそんなことに耳を傾けていない。 「ほぉ。 でも、残念だな…… 俺様が死んだ途端、この城は……」 ビフラがいいかけたところでソウロウが口を挟む。 「それか! それなら私が全て破壊してきたぞ!」 「バ、バカな! 最強メタルジャーによって守られていたはずだが……」 ビフラは驚きの連発。 ソウロウは笑って返す。 「あれがメタルジャーか! 思ったより大したことが無いのだな!」 「ということだ。 観念しろ、ビフラ!」 4人がビフラに迫っていく。 ビフラの体から、かなりの出血がある。 「ちっ、貴様らに殺されるぐらいなら、この俺様が自分で!」 ビフラは自ら、死を選んだ。 持っていた剣で、腹を刺して倒れるビフラ。 その姿を見て、フアンは驚く。 「ビフラも騎士の1人と言うわけか」 フアンは近寄って、ビフラが息を引き取るまで見届けた。 その後、扉を開けてビフラを王座まで運んでいく。 そして、部屋から戻ってきて扉を閉めるフアン。 「悪王としては、これでよかったんだよね……」 コッシュも自害したビフラに潔さを感じた。 しかし、なぜか寂しさみたいなモノがあった。 「それじゃ、帰りましょう」 「そうだね。 ルーエの村の人に伝えなきゃ」 そう言って部屋を去る4人。 その後、中から声がする。 「ビフラ様! このアエス。 ビフラ様を置いてはいけませんでっせ!」 右腕アエスが王室に戻ってきたらしい。 死体の横で泣いているような情景が浮かぶ。 「もしもの時は逃げろと仰られましたが、あっしも、お供させてください……」 その後、刺さる音がする。 その音共に、声がしなくなった。 「あの部下も、後を追ったんだね……」 コッシュは小声でつぶやく。 「何も言うな、少年!」 ソウロウがコッシュの肩を持った。 そのまま城の外へと出て行く4人。 |
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