玄関の扉を開けて、外に出る一同。 「さあ、後は山を下るだけだ」 そういって今まで来た道を帰る。 見張り兵のメタルジャーも今はいない。 「結局メタルジャーって何だったの?」 コッシュは今更ながら尋ねた。 「メタルジャーは機械兵。 ビフラが燃料供給していたから、時期に止まるよ」 「燃料ってなんだったの? やっぱ金属?」 「違うよ。 バイオエネルギー、つまり拙者たちが食べるモノと同じさ」 「へぇ…… だから、食糧も多量に欲しかったんだね」 そうこう話をしていると山の外へ。 そこにはテントで待っていた、村の人がいる。 3人の帰りを待っていた村の人は口を揃えていった。 「おかえり。 フアンさん! それからコッシュとメル!」 「ただいま! みんな…… ビフラをやっつけてきたよ」 コッシュは思いっきり飛び込む。 「で、そのお隣の人は?」 「私か! 私はソウロウ、この子らの知人だ!」 「そうかい。 それじゃあ、勝利の祝いに胴上げだ!」 村の人は集まって1人ずつ胴上げしていく。 みんな笑顔で嬉しそうだ。 その後、勝利のパーティも行われる。 みんな、テントの外で食べたり踊ったりした。 みんな疲れた頃に、テントで寝静まる。 そうして、日が過ぎた。 「ふぁ――…… あれ、誰もいない」 コッシュが目を覚ましたが、周りには誰もいない。 コッシュは外をのぞくと、みんな集まっていた。 テントはすでに片付けられている。 「それでは、新王をフアン殿に決定します!」 話はだいぶ進んでおり、コッシュは遅れをとる。 「コッシュ、何してるの。 早く来なさいよ」 「え、今のどういうことなの?」 「王を継承する人がいないから、フアンさんに決まったのよ」 「へぇ…… そうなんだ。 それは、めでたいね」 「まぁ、あのフアンさんだから村の人は大事にしてくれるわよね」 「うん、そうだね。 で、僕たちはどうするの?」 コッシュはもっとも大事なことを思い出させた。 彼らは別の世界の人、帰る方法が必要だ。 「忘れてたわ…… どうやって……」 2人はそこで考え込んだ。 そこにソウロウがやってくる。 「心配ないぞ! 少年たち!」 「お兄さん!? 心配ないってどういうこと?」 「私が独自に調べたのだが、ナトアにフロッグという穴があるらしい!」 「なんなの、そのフロッグって」 コッシュは謎の言葉に驚いた。 「それは私たちの世界と繋がっている、と聞いた!」 「じゃあ、僕たちのスリップは?」 「それは恐らく、そのフロッグの散った破片だ! 願うとそれが降ってくるとか!?」 「願うって…… 僕、別にこの世界に来たいなんて……」 「そういえば、コッシュ。 来る前、未知の世界にとか言ってたわよね?」 「そういえば…… そのせいなのかな。 でも、お兄さんはどうなの?」 自分のことは納得したが、ソウロウが来た理由はわからない。 「セラだ! セラがここの危機を私に知らせた!」 「セラさんって、お兄さんの彼女…… というか奥さんの?」 「そうだ! そして、セラはフアンの妹であり、この世界の人だ!」 改めて言うソウロウ。 「でも、それで、どうやって感知したの?」 「セラはきっと兄妹の絆みたいなものが、知らせたんじゃないのかと思う!」 「それで、お兄さんはどうやってきたのさ?」 「まあ、念じれば行けると聞いたんで、それで念じてたら来たってわけだ! ソウロウはいつもと変わらず単純な人だった。 「それで、セラさんは連れてこなかったの?」 「セラには危険な思いをさせたくないからな。 私1人で来た!」 「なるほどね。 お兄さんもいいとこある!」 コッシュはワザとらしく褒めた。 その後、フアンがやってくる。 話をしていた間に信任式は終わったようだ。 「ソウロウ。 拙者の妹を見ていてくれたんだよね」 「そうだ! セラの兄さんにあえて、私も嬉しいぞ!」 いつものノリのソウロウ。 「それで…… 妹を娶ったんだよね?」 「そうだ! 私がフアンの妹をお嫁に貰ったぞ!」 ソウロウはまだ気づいていない。 「ってことは、拙者は君の兄になるってことだね?」 「ムムっ!? そういえばそうなるな、兄上!」 今頃気づいたソウロウ。 「いや、いいよ。 今更変えなくても。 ただ妹が幸せにしてくれれば」 「大丈夫! なんたってこの私が認めた妻だからな!」 「それなら安心だ。 ところで、帰る方法は見つかったかい?」 フアンは本題に戻す。 フアンは、3人の帰るほうを心配していた。 「うん。 ナトアにあるって、お兄さんが調べたらしいから」 「へぇ。 ただ、あの場所は元ビフラ領なのに、よく入れたね」 フアンはソウロウが潜入できたことに驚く。 仮にもビフラ領だったわけで、その勇気に。 「ビフラの手回しはよかったが、あまり好まない人が多かったみたいだ!」 「きっと、顔が悪かったからだよ」 コッシュはストレートに言った。 「違うわよ。 アイツが戦好きとかだったからじゃない?」 「何はともあれ、帰れるならよかった。 送っていくよ」 「いいの? フアン。 王になったんだから色々と……」 コッシュは今のフアンの立場を案じる。 しかし、フアンは笑って返す。 「国の英雄をほっといて、国が纏まると思うかい?」 「なるほど。 じゃ、一緒に行こう!」 そういって、フアンと3人は村の人も誘いナトアに向かった。 |
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