旅の思い出


 ぶつかり合う二人。
 剣と剣が凄まじいほどに音を立てる。
 互いに睨みあいが続く。
 力を入れ、シュラムが交差した剣を圧す。
 シェイドは水平に飛ばされ、怯む。
 その隙に、追撃にやってきた。
 だが、シェイドは体制を取り戻す。
 そして、足に力を入れ、上空に跳ねあがる。
 シュラムは見上げ、シェイドを見る。
 その後、同じく飛び上がる。
 その高さはシェイドを上回っていた。
「甘かったなぁ!」
 そのまま、落下しシェイドの下へ剣を降る。
 シェイドも剣を上に構えるがそのまま落下する。
 辺りは砂煙が起こる。
 落下した先にはシュラムしかいなかった。
 周りを見る。 だが、シェイドの姿はない。
 上から落ちる音が聞こえる。
「甘いのはアンタだ」
 シェイドはいつの間にか上にいる。
 そのまま、シュラムの下に叩きかけようとした。
 しかし、シュラムは瞬間的に姿を消す。
 シェイドはシュラムを見失った。
 叩きかけるのをやめ、回転して着地をする。
 その直後に、剣が自分の顔の現れる。
 木の裏に隠れて、着地と同時に現れたのだった。
「アンタの負けだぜ」
 シュラムはその一言を告げると、剣を下ろす。
 シェイドは顔が強張った。
「どうだ。 これでわかっただろ?」
「俺は未熟……」
 シュラムの声を無視して落ち込んでる。
 負けたことが、よほど悔しかったみたいだ。
「教えてくれ、どうやったらアンタみたいに強くなれるか」
 必死にシュラムの体を掴み、問いかける。
 シュラムは頭を抱えている。
 だが、しかたなく、口を開いていった。
「しゃーねぇな。 だが一つだけいいか?」
 深刻な顔をして言う。
 シェイドはシュラムから、手を放して聞く
「強くなったら、何をする?」
「名誉を得るためだ」
 ハヤブサの如く答える。
「お前の言う名誉って何だ?」
「戦で手柄を上げ、出世をし、名声を受けること」
 シェイドの言葉に揺るぎはない。
 シュラムは、それを否定しなかった。
 彼はまだ若い、いずれわかることだろうと。
「それで、俺と稽古してくれるのだろう?」
 シェイドは稽古がしたくてうずうずしていた。
「そうだな。 今日を含め、ここ1ヶ月の修行と行った所か」
「短いな」 単刀直入に答える。
「悪いがオイラはダラダラやるのが嫌いでなぁ」
「俺もだ」 意見が合い、2人は笑った。
 それから数分後、一転して真剣な目つきとなる。
 そして、長期の稽古が行なわれた。
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